アパレル店員ならできると思っていたのに出来なかったこと

新卒としてアパレルを選んだ理由のひとつに

「見た目の自由さ」があったのは間違いなく大きかった。

アパレルなら髪型もネイルも化粧も自由で、自分が可愛いと思う服装や格好で毎日仕事ができると思っていた。

実際に普通の会社員に比べれば自由度は高いと思うが、それでも制限というのは付き物で我慢も必要だったので、今回はそのことについて書いておきたいと思う。

 

先に書いておくと、これは私が体験したことのみのことなので、実際はもっと自由なところや逆に下手したら会社員より制限の強いメーカーも存在するというのはご了承願いたい。

 

①グラデーションのヘアカラーは基本NG

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まず基本として知ってもらいたいのが、私達のようなアパレルメーカー勤務の者は会社からの辞令で各店舗に配属され、取引先である百貨店や商業施設、ファッションビルに毎日出向しているようなもの。

お客さんから見ればそんなこと知ったこっちゃないかもしれないが、これを理解しておかないとこの先の話は意味がわからないと思う。

私たちは百貨店から給料をもらっているのではないのだ。

 

基本的に私たちが日々守るべきルールは3つあり、

・自分が就職している会社のルール

・自分が勤務している取引先施設のルール

・自分が属しているブランドのルール

である。

この3箇所のどこか1つからでもNGが出ればそれは「駄目」なのだ。

勿論もっと沢山細かいことはあるが今は割愛します。

 

グラデーションのヘアカラーがNGなのは百貨店からの指示であり、数多くの百貨店で勤めてきたがどうやら基本的に百貨店はどこもグラデーションはNGのようだ。

まぁ確かにグラデーションヘアは日本ではそこまで老若男女浸透しきっているデザインではないのかもしれない。どちらかというと華やかで(ギャルっぽい?)若々しい印象になるので年齢層の高い百貨店では受け入れられ難いのも理解はできる。

百貨店はあくまでも清潔感と上品さが何よりも大事。

会社やブランドがいいと言っても百貨店側がダメと言えば当たり前にダメなのだ。

御取引様様なのである。

 

②金髪(金じゃなくてもかなり明るいヘアカラー)

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グラデーションが駄目なら当たり前だろうと思うかもしれないけど。

ちなみに金髪と一括りに言っているが、今の10代〜30代くらいの方はヘアカラーを細分化して話すこともあるので「金じゃなくてミルクティーだからOK」とか「プラチナベージュだから平気」という屁理屈が通用する問題ではない。

お洒落に鈍感なおじさんにはミルクティーもベージュも全部金髪に見えているらしい。

おじさんには黒髪、茶髪、金髪、白髪しか識別できないようだからまぁしょうがない。

理解ある世代が組織のトップに立つ時代を待ちましょう。

 

ちなみにどれくらいなら許されるかも完全に配属された場所やブランドによってくるが、自分自身が店舗の中でどれくらい偉いポジションにいるかも重要になる。

私の場合入社1〜3年目の時はせいぜい9トーンくらいまでだった。

これじゃ一般的なOLと同じである。

4〜5年目の時は13トーンくらいにしたらめちゃくちゃ怒られた。

この頃は仕事にも慣れてきて容姿もだいぶ幼さが抜けて大人として垢抜け、独身だと自由に使えるお金もあるからハイライトとかブリーチとかいろんなヘアスタイルを楽しみたかったけど、直属の上司にめちゃめちゃ指摘された。

まぁ自分よりも10歳以上若い女が好き勝手に自己投資を楽しんでいるのを見るのは気に食わなかったのかもしれない。

これもアパレルあるあるなのかもしれない。

とにかく「暗くしてこい」と言われたので次の休みに30000円かけてブリーチして、その上からめちゃめちゃ濃いグレーを入れてきたらかなりしっかりアッシュグレーになったが「そういうことじゃない」ともう一度直すように言われた。

どうやら自然な茶髪にしてこいという意味だったらしい。

それならそうと言え、と今でも思い出す度に思う。

 

まぁ私も自分みたいな後輩がいたら嫌だなとつくづく思う。

 

ちなみに6年目以降は立場が副店長になった為、ガンガンブリーチしてハイライトも入れまくってトレードマークが「金髪巻き髪」になっていた。ただしくは15トーンのベージュだが。

 

③カラーまつ毛エクステ

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ヘアカラーに比べれば意外に思われるかもしれないが、上の世代の人間はどうやら「自然界では存在しない物」が相当嫌いらしい。

たしかに白いまつ毛とか、明るい色のまつ毛をしている人がいたらつい見てしまうかもしれないが、それがはたして誰に迷惑をかけるのか・・・

せっかく可愛いのに。

 

カラーマツエクを禁止していたのは主に所属ブランドの指示ではあったが、私も捻くれた人間なので「茶色のマツエクやマスカラはいいのに赤は駄目なんですか?赤みが強いブラウンならいいんですか?」と聞いたことがあったが聞いた相手はだいぶ困って結局はっきりした回答は得られなかった。

要するにどこまでがOKで、どこからが駄目なのか、はっきり決まっていないのである。

完全に個人の見解で良し悪しが決められている。

 

④ゴテゴテのネイルやスカルプ

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接客業は会社勤めの人より、他人に指先を見られることが多い。

商品を案内するときや、カードや金銭授受のタイミング、指差し案内など、私も新人の時から「指先まで意識して仕事をしなさい。」と何度も言われていた。

 

お会計の瞬間とはお客様が夢見心地だった時間から一気に現実に戻されるタイミングらしい。

その時にネイルが剥げてたりスカルプが1本折れてる店員にお会計をされると

「この人の勧めた物で本当にいいのか?」とか、「他ともっと見比べなくていいのか?」と思ってしまうらしい。これは本当に自分でも経験があるから納得できる。

 

自分が20000円のレースやシルクをつかった繊細なデザインのブラウスを買うのに、ビジューやVカットでゴテゴテのネイルの人がそのブラウスを包んでいるのが見えたら不安になるだろう。

私がこれから20000円出して着るブラウス、その爪に引っかけないでよ!?と思うかもしれない。

何度も言うが、百貨店は清潔感が何よりなのである。

 

それと、自分が所属しているブランドによって許容範囲は変わる。

麻とかオーガニック系のブランドのスタッフが、ビジューてんこ盛りのネイルなんてしていたらブランドのコンセプトが台無しだ。

実際に私も、アニマル柄やギラギラのラメのネイルなどやっていたが、隣のブランドも自社の別のブランドだったがそこのスタッフはワンカラーのアースカラーのみしか出来ないというルールがあった。

 

どこの会社なら自由、ではなく、どこに配属されるかで、かなり運命は変わってくるのだ。

 

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以上の4つは、百貨店に勤める限り高確率でNGになる可能性があるルールである。

老舗の大手百貨店程厳しいのかもしれない。

だが、これが渋谷の109のような、イケイケのギャルブランドだったらおそらくNGにはならないだろう。

 

また、同じブランドでも百貨店ではNGだがファッションビルだったらOKというのもあり得る。あくまでも「百貨店をメインに勤めてきた私の主観と経験話」であることをふまえて読んでくれれば嬉しい限りであります。